福岡高等裁判所宮崎支部 昭和25年(う)507号 判決
よつて按ずるに、日本刀を三つに切断し、その切先の部分長さ約二八糎のものに、根元の部分に紙を巻きその上を糸で結んで束の代用としたものであつても、殺傷用具としての本来の性質を失うものではないと解するから、銃砲等所持禁止令施行規則第一条第三号にいわゆる匕首の一種というを妨げない。しかして、原判決に示した証拠によると、被告人は右全長約二八糎の刃物の約半分を紙で巻きその上を糸で結び束の代用としたものであるが、紙を巻いた部分も刃を潰さずに全長有刃のままにして置いたことが認められるから、なるほど外見上は露出した部分の長さは約一四糎に過ぎないけれども、束の代用部分を改装することによつて何時でも容易に刃渡(刃の棟と束との分界点から切先までの直線距離)を一五糎以上に伸長することができる状態にあるのであつて、(現に、証人追田利徳の原審公判における供述によると、被告人より右匕首をもらい受けた同証人は右束を改装して刃渡約一八糎の匕首として所持していたことを認めることができる)。右のような匕首は、銃砲等所持禁止令の法意にかんがみ、同令第一条にいわゆる刀剣類に該当するものというのが相当であり、かかる匕首である事実を認識しながらこれを所持した以上、銃砲等所持禁止令違反の犯意がないということもできないので、原審が同令第一条、第二条、同令施行規則第一条等を適用して被告人を処断したのは正当であつて、原判決には所論のような事実の誤認や法令の適用を誤つた廉はない、論旨は理由がない。